クラスタリングと冗長化

フェイルオーバーとは

フェイルオーバーとは、文字通り「失敗したときに(フェイル)、切り替える(オーバー)」という意味です。これはシステムを冗長化する技術の1つであり、万が一システム(本番機)に障害が発生した場合に、そのエンドユーザ(システムの利用者)に気づかせることなくバックアップシステム(代替機)がその処理やデータを引き継ぐ考え方

フェイルオーバーを満たすクラスタリング技術

「同一の機能を持つシステムを2台以上用意して冗長化構成をとる」という点で、クラスタリングはフェイルオーバーの考え方を満たす技術の1つであるということができます。ただし、 フェイルオーバーの目的が「失敗時の切り替え」であるのに対し、クラスタリングの目的が「負荷分散」である点で両者に違い があります。

わかりやすく例を1つ挙げます。

今、ここにビルに入るために2つの扉があるとします。フェイルオーバーの考え方では、この2つの扉のうち1つがメインの扉であり、もう1つがバックアップの扉になります。したがって、何も障害が発生していないときには、お客様はメインの扉から入ってきます。バックアップの扉は閉じられており通常時には使用されません。障害が発生した際にだけ、バックアップの扉が開放され、お客様はその入り口からビルに入ってくることになります。

これに対して、クラスタリングの考え方では、常に2つの扉ともメインになります。お客様は好きな方の扉からビルに入ってくることになります。万が一、1つの扉に障害が発生した場合は、全員、残りの扉から入ってくることになります。

これが両者の違いになります。